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ずっと感じてはいたけれど言語化出来ていなかったことが、最近読んだ本「SWITCH CRAFT」の中で言語化されていたので、その一文を紹介します。
細かいところまで感情を表現する能力を「感情の粒度」という。
特別な表現ではないように感じる人も多いかもしれませんが、この感情の粒度を大きく出来る力(小さい粒に出来る力)は自己理解に大きく影響しており、極めて重要です。
私はプログラムや研修の中で、参加者たちに感情や思考を具体的に書き出す作業を行ってもらっています。それはまさに「感情の粒度を把握すること」そして「その粒度を大きくすること」に他なりません。
自分の価値観や方向性が見えていない人や分からない人には、この感情の粒度を大きくすることが不得意な人が多い印象を受けます。感情の粒度を大きくする行為は、複合的な能力を必要としますし、その方法やプロセスを知る機会がないことが要因かもしれません。
そもそも、自分の感情を把握する具体的なプロセスは、下記になるでしょう。
- ある対象に対して、自分の感情が生じたことを認識する
- 感情が生じた原因となった対象を、具体的に認識する
- 生じた感情が、どのような感情なのかを身体感覚を含めて自分が納得できる言葉にする
ここから更に、感情の粒度を大きくするためには
- 感情の分析:微妙な感情の差を言葉を選びながら比較する、その感情をもつ契機となる過去の体験や知識などを探る
- 対象の分析:感情が起こった対象の具体性を高める、対象をどのような視点や立場で捉えているのかを理解する
ことが必要になります。
感情の粒度が大きい人は、各段階での認識が曖昧で、解像度が低い、と言えます。
この解像度を上げるためには
- 自分の「内受容感覚」を高める
- 自分の状態や対象を正確に表現するための言葉や知識を持つ
- 対象を詳細に認識するための視点や視座を持つ
などのことが必要です。
「自分そのもの」とも言える「自分の感情」をしっかりと把握することは、実は意外と訓練が必要なんです。言葉も知らず、体験や経験量も少なく、考え方も未熟な人は、何がやりたいことか分からない病になりがち。そして、それは大抵、絶対的に知識と経験の量が少ない。まずは何でもいいから体験してみることからしか始まらないでしょう。
<参考書籍>
SWITCHCRAFT(スイッチクラフト) 切り替える力: すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略
エレーヌ・フォックス (著), 栗木さつき (翻訳)